リリー・フランキーは、日本映画界を代表する個性的かつ多才な俳優の一人だ。繊細さやユーモア、風変わりな魅力から、よりダークな感情表現まで、幅広い役柄を自在に演じ分けてきた。是枝裕和監督の『万引き家族』(2018)での演技で国際的な注目を集め、同作はカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。『そして父になる』『海街diary』『孤狼の血』、そして『全裸監督』など、数々の話題作に出演している。俳優としてだけでなく、作家やイラストレーターとしても活動するリリー・フランキーは、ひと括りにはできない複雑な人物像を演じ続け、その独自の存在感を確立してきた。 ウェイン・ワン監督の『The Diary of a Mad Old Man』では、年老いた実業家・卯木(ウツギ)を演じる。若い女性への関心をきっかけに、欲望や死、自らの肉体の衰えと向き合うことになる男だ。谷崎潤一郎による1961年の問題作を原作とする本作は、性愛と老いが交錯する危うい領域に踏み込み、肉体が衰えていく中で、人間の欲望はどう変化していくのかを問いかける。ファン・ビンビンと共演したリリー・フランキーは、脆さやユーモア、そしてどこか不穏な無邪気さを併せ持つ卯木を演じ、その欲望の奥にある極めて個人的でありながら普遍的な人間性を浮かび上がらせている。 トロント国際映画祭(TIFF)の会期中、リリー・フランキーはOne Lash Shotのインタビューに応じ、谷崎文学の魅力、卯木という人物に見いだした複雑な人間性、ウェイン・ワン監督やファン・ビンビンとの共演、そしてこの役を演じる上での思いがけず親密なプロセスについて語った。 この映画に出演する以前、谷崎潤一郎の作品とはどのような関わりがありましたか? ウェイン・ワン監督から声をかけられる前に『鍵』を読んだことはありましたか? もし読んでいたとしたら、作品を読んだときの最初の印象、そして卯木という人物を演じることになったとき、どのように感じましたか? 谷崎潤一郎は、日本では非常に有名な作家です。彼の作品は学校の教科書にも数多く取り上げられています。また、これまでに谷崎作品を原作とした映画も数多く作られてきました。映画であれ小説であれ、谷崎の作品は日本でとても親しまれています。 『万引き家族』から『ルノワール』まで、これまで実に幅広い父親像を演じてこられましたが、『The Diary of a Mad…